木の家に拘る
人は木の家が好きである。
これに反論する人は少ないと思います。
最近は新建材を多用して室内に本物の木材が使われることが少なくなっていますが、新建材に印刷されているのは木目の柄が圧倒的に多いのはなぜでしょう。
木が嫌いならばわざわざ木目の柄を印刷したりすることはないはずです。
室内に木材を使用した時に木目の精神安定効果に役立つと報告されていますがそれは、木目や節が作り出す 1/f ゆらぎ によるもののようです。
また、木部が視界の中に入る割合は40〜45%程度がその効果が高いようです。
また、人は森の中を歩く時に、何とも言えない安らぎや心が洗われる様に感じますが、それは視界による効果だけでなく樹木かた放出されるフィトンチッドに代表される物質の効果があるからです。
その他にもテルペン類などの精油分やヒノキチオール等が人にとって良い効果をもたらしてくれる物質だと言われています。
それらの物質は精神安定効果のほかにも殺菌、防腐、防虫などの効果や呼吸器系、循環器系、高血圧などの治療に役立つ薬用効果もあるようです。

真冬に鉄の棒を素手で握る事を想像してください。
凄く冷たい、ですよね。
では、木の棒の場合はどうでしょう。
鉄に比べたらずっと冷たくないですよね。
私たちは、経験上誰でも知っている事です。
でも、鉄の棒も木の棒も同じ温度なのです。
では、何が違うのでしょう。
実は、熱の伝わる速さが違うのです。
焼けたフライパンを持ったところを思い出してください。
手で持つ柄の部分は、鉄ではなく木で覆われています。
そうなんです。木は鉄よりも483倍も熱の伝わる速さが遅いのです。木は、夏の暑さ・冬の寒さを伝えない優れた素材なのです。
あなたは今床の上に寝転んでいます。床は、何の素材で出来ていますか。
木の板、畳、ジュウタン、でしょうか。
鉄板やコンクリートを想像した人は?
たぶんいないと思います。
人は硬くて熱の伝わるのが早い素材は、快適と感じないのです。
木のフローリングや畳は、体温を奪うのがゆっくりなので人にやさしい素材なのです。
直接触れていなくても輻射により熱は移動します。
壁や天井も熱の移動の遅い素材、熱伝導率の遅い素材が快適さを高めてくれます。
 
木やコンクリート、杉の無塗装の床とキズがつかないハードな塗装をした床の肌触り感。
どちらが心地よいでしょう。
これは私の私見ですが、人は呼吸する素材、調湿出来る状態の物の肌触りが好きなんだと考えています。
床の場合は、手入れのことキズのことを考えて堅木が使われることが多いのですが、肌触り・暖かさは杉や桐などの柔らかい素材のものの方が、素足で生活する日本人には快適です。
木は、調湿機能があり住む人に快適な方向に湿度を調整してくれます。
内装に木を調湿機能を防げない状態で使用すると効果が高くなります。
また、外断熱などで壁体内も通気できる工法の場合は建造材・端柄材の木材の調湿機能が働きますのでさらに有効です。
木造で家を作っても内装にビニールクロスを張ったり、気密をとるために気密シートを張ってしまうと調湿機能は、期待できません。
さらに乾燥のいいかげんな材木を合板やビニールで覆ってしまうと木材が乾燥する時に吐き出す湿気が壁体内にこもり結露の原因やカビ・腐朽の原因になってしまう事もあります。
木は、調湿機能の高い素材ですが使い方を間違うと短命な家になってしまいます。
傾斜地に家をつくる場合等にとくに多く被害が出やすいのが床下の土が湿って土台・大引き・柱などを腐らせてしまう例です。床下の防湿工事がしっかりされていないのが原因です。
上方のところの水分が下方の家の床下に出てしまうためですが住んでいる人が気づくのは、床がふわふわするなどかなり木材が腐朽してからです。
先日改修したお宅では、築8年で床下の土台に針を軽く刺したところ2cmも入ってしまいました。
10.5cmで表面から2cmだと残り6.5cm角の断面で家を支えている状態です。
木は、乾燥状態に保てば1000年以上でも強度は保てます。
長所と欠点を理解し長所をうまく引き出してあげましょう。
家を作る時に木の長所を発揮するのも、欠点が出てしまうのも材料の含水率に大きく影響されます。
| 短所 |
・乾燥する過程で含水率30%より下がると収縮がはじまり割れ、ねじれ、寸法の変化がおきる。
・含水率25%以上だと腐朽菌が繁殖しやすくなり20℃〜30℃でもっとも繁殖しやすい。 |
| 長所 |
・調湿機能がある。
・熱伝導率が低い。
・人に有効な効果がある。(薬用性・親和性)
・吸音性・防虫性がある。
・耐久性が高い。
・乾燥すると強度が高くなる。 |

木材は乾燥することで初めてその長所を発揮します。
昔、家を建てる際には伐採した木をじっくりと乾かしてから製材し、さらに乾燥させてから狂いを取り除いて建てていました。
現在は、伐採をし製材〜完成まで半年未満なんていうことも珍しくないようです。
安く、早く家を建てることだけを考えて乾燥が不十分な材料(グリーン材)で家を造ると木の長所を活かせずに短所だけが目立ってしまいます。
数年前より人工的に乾燥させた木材(KD材)が市場に流通するようになりましたが、乾燥技術や管理方法に問題があるのか、まだまだ含水率にばらつきのある製品が出回っているのが現状のようです。
住宅金融公庫の次世代省エネ基準には使用する構造材は含水率20%以下の乾燥した材料を用いるとあります。
しかし、北関東における平衡含水率は13%ほどになりますので20%程度の含水率では構造材の割れやねじれ、寸法の変化がおきてしまうことになります。
家を建てる際には乾燥剤(KD材)という言葉だけに留まらず含水率が何%なのか確認することが大切です。
当社ではそのようなばらつきのある構造材を嫌い加工工場に行き品質管理の状況を確認した上で、柱には構造用集成材と含水率15%程度の桧の乾燥材、梁材には北米産の米松(ダグラスフォー)を使用しています。



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